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【五彩睦レポート】トークイベント「五彩往来・逢い語らい#01 すみだのアートのこれから」を開催しました

こんにちは。
すみだ五彩の芸術祭と地域を繋ぐ、地域コーディネーターの長です。

この芸術祭をにぎやかしていく地域の人の集まり、五彩睦※1のトークイベント「五彩往来・逢い語らい」、第1回「すみだのアートのこれから」を開催しました。

この「五彩往来・逢い語らい」は、芸術祭のタイトルにもある「五彩」を墨田区で活動する多彩な人々として、その分野や立場、エリアや過去・現在・未来を行き来して出会い、語らっていく場になるようにと名付けました。

墨田区においてさまざまな分野で活動したり関わる方達をお招きして芸術祭について語るこのイベント。
ここで活動してきた人たちがこの芸術祭をどう迎えてどう関わっていくか、そしてこの芸術祭が終わった後になにを残していくかを話し、地域の知見やネットワークを継承すると同時に、芸術祭の可能性をひらくことを目的としています。また、外から来た方にもすみだでの活動や人、地域の文脈を感じてもらえるような対話を重ねられる場になればと考えています。

第1回目の今回は、以下のお三方をゲストにお迎えしました。

公益財団法人セゾン文化財団 森下スタジオよりお越しいただき、今年の8月までは「隅田川 森羅万象 墨に夢」通称すみゆめの事務局として、また、その前職ではアサヒ・アートスクエアのスタッフとして長く墨田区界隈の文化芸術活動を見てきた岡田千絵さん

今回の会場をご提供いただいき、伝統工芸と現代美術のコラボレーションを実現しながら、「家業」の若手後継者グループ「継創」としても活動するほか、ご自身はDJでもあり落語のイベントも開催するなど、精力的に文化活動をされている片岡屏風店代表取締役社長の片岡孝斗さん
https://www.byoubu.co.jp/

墨田区東向島、地蔵坂通りに拠点を構え、地域にもともとあるアート系のコミュニティとは距離を保ちながら、一貫して現代美術を紹介されている、Token Art Center代表の高村瑞世さん
https://token-artcenter.com/

三者三様の立場でアートに関わるお三方から「すみだのアートのこれから」をテーマにお話をうかがい、これから芸術祭に向けてなにを大切にして動いていくか、ヒントをもらえた時間になりました。

当日に先立ち、お三方に投げかけた3つの質問がありました。
すみだのアートの「これまで」と「今」のこととして
「すみだのアート/墨田区でアート活動をするときの良さと課題はなんですか?」

「良さ」は、
・地域のものづくりマインドと現代美術の相性の良さ
・地域活動が盛んで、主体的に関わる人も多い
・下町文化と伝統的な内容のイベントの親和性
・わからないものでも受け入れたり力を貸してくれる地域性
など、この地域特有の土壌のような部分が共通していました。

興味深かったのは、都内各地(主には中央線沿線)で活動されてきた高村さんが拠点を構えるのに墨田区を選んだ理由が、そういった地域性を知っているからではなく、自分たちで改修できる古い建物を見つけることができたからということでした。こうした賃貸物件が見つかるということもまたこの地域の土壌だとは思いますが、高村さんは拠点を構えて活動していくうちに上記のような地域性を知ったということです。

「課題」は三者三様で、地域での活動の可能性を広げたり高めたりするためにもっと外に開かれるべきという岡田さんと、一方で(どちらかというと)資金的な側面で活動の継続のためにもっと外に開かれるべきという片岡さん。

高村さんはご自身が空き店舗を改修してギャラリーを運営されている立場から、空き店舗を、このまちに住んでいる人が活動できる小さな場所として活用できると良いのではないか、空き店舗が活用されれば、地域で新たなユニークな活動が興るチャンスが増えるのではないかとお話しされました。


「これから」のお話しとしては、まだ始まってもいない(笑)芸術祭が終わった後について、うかがいました。

「芸術祭が終わった後、すみだのアートがどうなってると良いと思いますか?」

岡田さんは、今あるこの地域の良さを維持・発展するための方法を示してくださったような気がします。ドイツの「ミュンスター彫刻アーカイブプロジェクト」のように、墨田区内で行われた企画のカタログなど、資料の収集・保存をして、例えば区立図書館の郷土資料コーナーなどで受け入れるなど、誰もがアートプロジェクトについて知る・触れられる、そういった機能が墨田区にもあると未来に繋がるというお考えです。

片岡さんも海外の現代アーティストとのコラボレーションのご経験から、とくに北欧における行政の文化支援の手厚さを事例に、公的にどれだけ文化芸術活動を支えることができるのか、芸術祭に向けての期待と問いを投げかけてくださいました。

これもまたおもしろかったのが、高村さんのご意見でした。
お話を聞くと、ご自身がアート活動を始めたきっかけは、何気なく出かけた先で現代アーティストと出会い、ひょんなことからそのアーティストの作品制作を手伝うことになったことだったそうです。そんなふうに、現代アートとの出会いは何気ないもので、ハマる人はハマる、ハマらない人にも認識されればまたひとつこの地域の土壌として残っていくということかなと思いました。

話を深めていくうちにお三方で共通していて印象深かったのが、この芸術祭をきっかけにして、地域に「場所と人が残ると良い」というご意見でした。
その「場所」は、地域で市民もアーティストも、さまざまな分野の方が活動し、交流や発表ができる場所、「人」はそれをする人、その人たちの活動や活動する場を支える人、それを発信し繋いでいく人のことかなと思いました。

これまで出会い繋がる理由のなかった、地域で活動している人たちが、この芸術祭を機に出会い、地域で文化芸術に使える場所が増え、残ること。
芸術祭がなければ起こらなかったことがたくさん興っていくように。
そんな期待が高まったトークイベントになりました。

◆次回開催
五彩往来・逢い語らい #02
日時:11/25(火)19:00〜
テーマ:場のつくりかた
ゲスト(予定)
・須藤昌俊(一般社団法人SSK)
・大西正紀(喫茶ランドリー/オラ・ネウボーノ)
・平澤龍一(菊川三丁目町会)
・山田悟(立川菊川まちづくり研究会)
会場:たてよんひろば(墨田区立川4-9-3)
(雨天時会場:WORK CINEMA Paradise(墨田区菊川3-7-1 菊川会館ビル2F))
申込:https://gosaiourai02.peatix.com/

※1
五彩睦(ごさいむつみ):すみだ五彩の芸術祭は、単に作品を展示する場にとどまらず、地域の皆さんとともにつくりあげていくことを目指します。地域と芸術祭を繋ぐ「地域コーディネーター」をはじめ、地域で活動するさまざまな分野の方々と、会期中はもちろん、会期外にも関連イベントを展開していきます。そんな集まりをお祭りでなじみのある言葉「睦」にちなみ「五彩睦」と名付けました。芸術祭を自分たちの祭りとしてにぎやかしていく人たちです。会期前は、五彩睦が企画するトークイベント「五彩往来・逢い語らい」や、芸術祭について語る場「五彩カフェ」を定期的に開催しています。

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