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【五彩睦レポート】トークイベント「五彩往来・逢い語らい#02 場のつくりかた」を開催しました

こんにちは。
すみだ五彩の芸術祭と地域を繋ぐ、地域コーディネーターの細田です。

この芸術祭をにぎやかしていく地域の人の集まり、五彩睦※1のトークイベント「五彩往来・逢い語らい」、第2回「 場のつくりかた」を開催しました。

この「五彩往来・逢い語らい」は、芸術祭のタイトルにもある「五彩」を墨田区で活動する多彩な人々として、その分野や立場、エリアや過去・現在・未来を行き来して出会い、語らっていく場になるようにと名付けました。 墨田区においてさまざまな分野で活動したり関わる方達をお招きして芸術祭について語るこのイベント。 今回は墨田区のいちばん南、菊川・立川エリアから、地域の魅力や「場づくり」について語り合いました。

会場となったのは、11月15日にオープンしたばかりの新しい民地の広場「たてよんひろば」。
第2回目の今回は、以下の方々をゲストにお迎えしました。
各地でこどもの遊び場を展開する、一般社団法人SSK 代表理事の須藤昌俊さん。「喫茶ランドリー」や「オラ・ネウボーノ」など、“まちの1階づくり”をテーマに設計デザインや運営をされている、株式会社グランドレベル クリエイティブディレクターの大西正紀さん。

そして、地元・菊川/立川エリアの地域づくりに深く携わっていらっしゃる、菊川三丁目町会 副会長の平澤龍一さんと、立川菊川まちづくり研究会 会長の山田悟さんです。

ゲストへの共通質問

イベントの後半では、ゲストの皆さんに「すみだで活動する良さと課題、そして芸術祭後の未来」という3つの共通質問を投げかけました。立場は違えど、この街を想う熱い言葉が交わされた、その一部をダイジェストでお届けします。

 1.すみだで活動するときの良さはなんですか?
 2.すみだ活動するときの課題はなんですか?
 3.芸術祭が終わった後、すみだがどんな状態になっていると良いと思いますか?


伝統の継承と、変わりゆく街のなかで

町会や地域活動の最前線に立つお二人が口にしたのは、伝統があるからこその強みと、その裏側にある切実な課題でした。

菊川三丁目町会副会長の平澤龍一さんは、長年受け継がれてきた「お祭り」をはじめとする伝統文化をこの街の誇りとして挙げられました。しかし同時に、人口増加や住民構成の変化といった「街の移り変わり」のなかで、いかに新しい住民を巻き込んでいくかという課題に直面しています。 「芸術祭をきっかけに、まずはすみだに興味を持ってくれる人が増えてほしい。それが街の活性化への第一歩になるはず」と、新たな出会いへの期待を語ってくださいました。

一方、立川菊川まちづくり研究会会長の山田悟さんは、すみだの良さを「街が狭い(小さい)こと」だと定義します。この密度こそがコミュニティの源泉でしたが、現在は「地域コミュニティの過疎化」が静かに進行していることを危惧されています。 芸術祭の未来について「劇的に何かが変わるわけではないかもしれない」と現実を見据えながらも、「それでも、区民の内側から小さな芽が出てきてくれたら、それが一番の成果だね」と、地域からの自発的な変化に優しい眼差しを向けられていたのが印象的でした。

誰もが「居られる」街であるために

続いて、遊び場や居場所づくりといった「場」をクリエイトする視点から、今のすみだに必要なエッセンスが語られました。

一般社団法人SSKの須藤昌俊さんは、街のアクセスの良さと並んで「人の温かさ」を絶賛します。「何かを始めるときに『協力するよ!』と即座に手が挙がる、このスピード感と善意こそがすみだの魅力」だと語ります。 一方で、その活動を支える「場所」については、土地や家賃の高騰というシビアな壁が立ちはだかっています。「地元の仲間がこの街に住み続けられない。そんな現状をどうにかしたい」という言葉には、深い実感がこもっていました。須藤さんは、芸術祭の先に「日常の至るところに“あそび”があふれる街」を見据えています。

株式会社グランドレベルの大西正紀さんは、肩書きや属性を脱ぎ捨てて「個」として心地よく繋がれる関係性を、すみだの固有の価値として挙げられました。 しかし、その関係性を支える「ハード(街のしつらえ)」にはまだ改善の余地があると言います。「生き生きとした街路樹やベンチ、一階にある小さな店舗……人が街に居られる居心地の良さを物理的に作ること」の重要性を、改めて提示されました。 「動員数やアートの数といった数字ではなく、人の幸福度がどう上がったか。墨田区がそんな『独自の指標』を作れたなら、それは世界中から注目される最先端の街になるはずだ」という大西さんの言葉は、今後のすみだの方向性を示す大きな道標となりました。

4者の発言から見えてきたのは、すみだという街が持つ「濃密な人間関係」という財産と、それを次世代へどう繋ぎ、今の暮らしにどう最適化していくかという共通のテーマでした。

芸術祭に向けて、この新しい広場や地域のお店が、どのように「五彩」の人々と交わっていくのか。 地域で活動している人たちがこの芸術祭を機に出会い、地域で文化芸術に使える場所や機会が増えていくこと。 そんな「場」が育っていく未来への期待が高まった一夜となりました。

※1
五彩睦(ごさいむつみ):すみだ五彩の芸術祭は、単に作品を展示する場にとどまらず、地域の皆さんとともにつくりあげていくことを目指します。地域と芸術祭を繋ぐ「地域コーディネーター」をはじめ、地域で活動するさまざまな分野の方々と、会期中はもちろん、会期外にも関連イベントを展開していきます。そんな集まりをお祭りでなじみのある言葉「睦」にちなみ「五彩睦」と名付けました。芸術祭を自分たちの祭りとしてにぎやかしていく人たちです。会期前は、五彩睦が企画するトークイベント「五彩往来・逢い語らい」や、芸術祭について語る場「五彩カフェ」を定期的に開催しています。

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